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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
04 第四分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 页
家臣らの自責をなぐさめ、
「そんなこと、たれが罪として咎めよう。四方、味方との聯絡もないこの孤城を、そち達、寡兵の手にあずけて、悠々、半月あまりも、留守にしておいた藤吉郎こそ咎めらるべきだ。ようその間、持ち支えていてくれた。留守中の勤め、大儀大儀」
彼はすぐ、ほかの群れへ眼をやって、
「生捕った敵の一将、宮部善性坊とやらを、これへ曳け」
と、命じた。
法師武者の善性坊がそれへ直ると、藤吉郎は、黙って人態をながめていた。
「…………」
善性坊も顔をあげたまま、藤吉郎をにらまえていた。
そのうちに、力負けしたように、ふと、善性坊がひとみを俯せると、とたんに、
「不届き者ッ」
と、藤吉郎は満身から声を出して呶鳴りつけた。
むくッと、善性坊が面をあげて、何か、口を開こうとするとまた、
「不忠者めが!」
と、二の句をいわせなかった。
善性坊は、面に朱をそそいで、
「なんで、それがしが不忠者か、不とどき者か。よし捕われの身であろうと、いわれなき辱めをうけてはこのまま死ねぬ。理を明らかにせい。せねばただは措かんぞ」
躍りかかって、咬みつきそうな顔していった。
「あわれむべき男かな。