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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

01 第一分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 页

青空文庫

「後日、ごあいさつ申すでござろう」

と、受けておいた。

そして、答礼の使いをやる折に、水挿の価に倍する黄金と、見事な鞍などを持たせてやった。

その日である。

使いを出した後で、また、松原内匠をよんで何やらいいつけていたが、やがて自身、縁へ出て来て、

「猿ッ。猿ッ」

と、庭へ向って呼んだ。

日吉は、

「おいッ」

と答えながら、木蔭から小迅ッこく走って来て、

「お呼びですか」

と、膝をついた。

ここへ来てから、二寺へも行ったらしいが、直ぐ帰って来て、その後、何とはなしに居着いていた。

機転がきく。何でもする。人は彼を小馬鹿にするが、彼は人を馬鹿にしない。口が達者なほど心は決して軽薄でない。――で、小六は、庭使いにして愛していた。

庭使いは、箒持ちの小者の仕事のようではあるが、事実はそうでない。主人の身近に働いて、朝夕主人の眼にふれるし、夜は夜の守り役をもすることになるので、決してよそ者などは使わないものである。それを小六は、庭へ飼った。猿々と呼んではいるが、愛している証拠であった。

「新川の茶わん屋の宅へ行って来い。内匠について、道案内をいたしながら」

「茶わん屋へですか」