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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页

青空文庫

洋服の男は一本の葉巻とマッチをだして、面倒くさそうに火を点けた。

「事件はこれからですが、ね、ある日、それは夏でしたね、私の裏庭には、一本の大きな棗の木があって、それに棗の実がいっぱいに実っていたのです。私はその棗の木の下へ仕掛けのある箱を置いて、二つ三つ得意の奇術をやり、それから石を投げて鳩にして飛ばしたところで、

(ふうう)

とさもおかしくてたまらないと云うような嘲り笑いをする者もあるのです、私は怪しからん奴だと思って、見ると赤い帽子を著た、顎髯の白い、それもまばらに生えた老人が笑ってるのです、私は後の詞によっては、撲り倒してやろうと思って、その顔を睨みつめると、

(若旦那、そんな小供のするような奇術は駄目ですよ、私の奇術を見せましょうか)

と云うのじゃないですか、私は腹が立つし、種も仕掛けもない手ぶらの老人が、気の利いたことができるものか、何かやらして、気の利いたことができなかったら、大にとっちめてやろうと思ったので、

(そうか、では、やってもらおう、お前さんは、どんなことができるのだ)

と云うと、老人はにやにや笑って、

(若旦那、私にはなんでもできますよ、私は若旦那を猿にしろとおっしゃれば、ほんとうに猿にしてみせますよ、しかし、まあ、それよりも、一ばん早いところをお眼にかけましょう、若旦那、その大きな棗の