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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
※(ローマ数字10、1-13-30)
少女の手がそれぞれ双方の手に来た。広巳は気もちが浮きたった。
「あがります」
広巳は少女の手を揮りはらって上へあがった。広巳は笑っていた。広巳に跟いてあがった少女の一人は、女に近く座蒲団を敷いた。それは菰の葉のような蒼白い蒲団であった。
「さあ、お坐りなさい」
「は」
広巳は坐ったものの眩しいので顔を伏せた。少女の一人がもう茶を持って来た。
「どうかお茶を」
広巳はちょっと頭をさげた。女の軽く少女に云いつける声がした。
「お茶じゃ、話ができないから、あれを持っていらっしゃい」
「は」
※(ローマ数字10、1-13-30)
少女は小鳥のように身を飜えして往った。広巳はやっぱり眩しかった。
「こんな処で何もありませんが、何か持って来さしますから」
何か持って来さすとは酒であろうか。ここでは謹んだうえにも謹まなくてはならない。
「どうか、それは」
「なに、こんな処ですから、何もありませんよ」
広巳は押えつけられているようで、それ以上は何も云えなかった。広巳は困っていた。そこへ少女だちが引返して来た。少女だちは広巳の前へ何かことことと置いた。
「それでは、めしあがれ、ほんとに何もありませんよ」