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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
神仙河野久
神仙の実在を信じて「神仙記伝」と云う書物を編輯していたと云う宮中掌典の宮地嚴夫翁が明治四十三年、華族会館で講演した講演筆記の写しの中から得た材料によって話すことにする。この話の主人公河野と云うのは宮地翁門下の一人であった。河野の名は久、通称は虎五郎、後に俊八とも云った。道術を修めるようになってから至道と云う号を用いていた。もと豊後の杵築の藩士で、大阪中の島にあった藩の蔵屋敷の定詰であったが、御一新後大阪府の貫属となって江戸堀に住んでいた。非常な敬神家で、神道の本を読み宮地翁の講義などにも出席していた。
明治七年の四月になって河野は大阪から泉州の貝塚へ移り住んだ。その時分から彼の敬神の考は非常に突きつめたものになっていた。宮地翁の詞によると、「始終私どもの講義を聞いて、茲にはじめて神の正しく儼存し玉ううえは、至誠を以ってこれを信じその道を尽し、その法を修めんには、神にも拝謁のできぬものにはあらざるべしと決心し、これより種種の善行を志し、捨身決心して犬鳴山に籠り大行をはじめ」たのであった。犬鳴山の行場へ籠ったのは翌年の三月一日のことであるが、その山へこもるようになったのは前年の十月に霊夢を感じて仙術の修練に志したがためであった。