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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
讓はそれを無意識に渡しながら女の後からふらふらと跟いて往った。
※(ローマ数字「IV」、1-13-24)
長方形の印度更紗をかけた卓があってそれに支那風の朱塗の大きな椅子を五六脚置いた室があった。前に入って往った女は華美な金紗縮緬の羽織の背を見せながらその椅子の一つに手をやった。
「どうかおかけくださいまし」
讓は椅子の傍へ寄って往った。と、女はその左側にある椅子を引き寄せて、讓と斜に向き合うようにして腰をかけたので、讓もしかたなしに椅子を左斜にして腰をかけた。
「はじめまして、僕は三島讓と云うものですが」
讓が云いはじめると女は手をあげて打ち消した。
「もう、そんな堅くるしいことは、お互によしましょう、私はこうした一人者のお婆さんですから、お嫌でなけりゃこれからお朋友になりましょう」
「僕こそ、以後よろしくお願いいたします」
讓の帽子を受け執った婢が櫛形の盆に小さな二つのコップと、竹筒のような上の一方に口がつき一方に取手のついた壺を乗せて持って来た。
「ここへ持っておいで」
女がさしずすると婢は二人の間の卓の端にその盆を置いてから引き退ろうとした。