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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
気のなさそうに云って、「やっぱり尻尾が切れてるわね」
広栄は顔をしかめた。
「そ、そんなことを云うものじゃない、そんなことを」
お高はちらと嘲りを口元に見せた。
「我家がこうしていけるのも、神様のおかげだ、おろそかに思ってはならない」
「そうね」
定七は楓の下からお高の方を見た。
「夫人、おつれあいも、お出ましになっておりますよ」
「そうかね」
「お庭へ、ちょっとお出でになっては」
「わたし、これから冬着の始末をしなくちゃならないからね」間をおいて、「平どんにでも手伝わしておくれよ」
「すぐでございますか」
「すぐさ、こうして持ってるじゃないの」
「よろしゅうございます、それでは、平吉を呼んでまいります」
「すぐだよ」
「よろしゅうございます」
「それじゃ、わたしは、土蔵の前にいるからね」
「へい」
定七は急いで出て往った。お高はすまして立っていた。
「ちょっと手間がかかるのですが、ほかに用はないのですか」
「ない」
「それじゃ、ちょっと手間がかかりますよ」
「いい」
広栄は蛇の方を一心になって見ていた。蛇は表座敷の前から右の方へ姿を消して往った。
「例年のとおりだ、もったいない」
お高は広栄の詞を聞きながして引込んで往ったが、間もなく裏手の三つ並んだ土蔵の右の端の口へ往って立っていた。