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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
※(ローマ数字8、1-13-28)
が、どうかしてるのですか、奥さんも心配してらっしゃいますよ」
「へッ」
広巳の口から吐きだすような詞が出た。お町は広巳を見なおした。
「ほんとですよ、奥さまが、心配してらっしゃいますよ、今朝も奥さまがいらしたのですよ」
「俺、己の女房は、己でもらうんだ、他の世話にならないや」
お町は眼を円くした。
「そ、そんなことをおっしゃるものじゃありませんよ、奥さまや旦那さまが、貴下を我が子のように、可愛がってるじゃありませんか」
「あまり可愛がられたくないや、俺、嫌いだ」
※(ローマ数字8、1-13-28)
その時店の方で男の子の軍歌を唄う声がした。広巳はそれに気をとられたようにした。
「ああかい、ゆうひに、てらされて、とうもは、のずえの、いしの、した、――まっさき、かあけて、とっしんし――」
「ひろぼうか」
男の子をからかっているのか壮い男の声が軍歌に交りあった。広巳は気が注いて残りの飯を掻きこみ、落すように茶碗を置いて、お町の持って来てある番茶の土瓶を執って注いだ。
「やあい、やあい、痴やあい」
七つか八つに見える子が駈けて来た。それは広栄の一人子の広義で、広巳の可愛がっている甥であった。