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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
右の手で何か揮るような恰好をして、「これを知らねえのか」
「知るものかい、俺は堅気の商人だ」
「堅気の商人だ、何の商人だ」
「そりゃあ、その」云えないので、「何でもいいや」
「それ、みな、云えないだろう」
「ふざけるない、おい、おめえは、俺が、後暗いことでもやってると思ってるのか」
松山はまた何か揮るような恰好をした。
「これだと思ってるが、やらないのか」
「やるもんか、俺は、堅気の商人だ、そんなへんなことは知らねえや」
「しかし」また何か揮る恰好をして、「これは判ってるだろうな、何を揮るか」
「知るものか、きちょうめんの商人だ、賽ころなんか知るものか」
松山は大声に笑った。
「お、おい、賽ころだ、云うに落ちずして語るに落ちる、賽ころと云うことを知ってるな、それじゃ半ちゃん、佳い目が判るじゃねえか」
「判らねえ、知るものか」半ちゃんはその時便所に往きたかった。半ちゃんはずいと起った。「これから往って賽ころがどんなものか考えて来る」
半ちゃんは笑い笑い出て往った。岡本の左側へぴったり寄りそうていた歌妓は無邪気であった。
「あの方、あれ、やるの」
それは二十位の眼の澄んだな女であった。