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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
それに場所が場所でもあった。
「嘘だよ、俺にはそんな心あたりがないよ」
「嘘なら、心あたりがなけりゃ、それにしとくといいことよ」
「だから、それにしとくのだよ」
「それがいいわ、そのかわり後になって、私を恨んでも知らないことよ、若旦那の家には、お銭がたくさんあって、鮫洲大尽と云や、界隈で知らないものはないのだけど、そんな地位のある方には、こっちからどう思ったところで、どうすることもできない方だから」
「いやに大きく出るじゃないか、ぜんたい、そりゃ、何だい」
「粋で、上品で、地位のある方よ、それで若旦那のことを思ってらっしゃる方よ」
「痴にするない」
「あれ、まだ、私がかつぐと思ってらっしゃるの」
「そうだよ、担いでるのだよ」
「痴、ねえ、若旦那は、ひとが親切に云ってあげてるに」
「それじゃ、はっきり云ったら、どうだ、ほんとなら、はっきり云えるじゃないか」
「そりゃ、云えますよ、云えますが、若旦那が邪慳だから云わないことよ」
「何時、俺が、汝を邪慳にしたのだよ」
「平生邪慳よ、私が何か話そうと思っても、逃げっちまうじゃありませんか」
「そんなことはないさ、逃げたことはないじゃないか」