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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
赤い土の壺
永禄四年の夏のことであった。夕陽の落ちたばかりの長良川の磧へ四人伴の鵜飼が出て来たが、そのうちの二人は二羽ずつの鵜を左右の手端にとまらし、後の二人のうちの一人は艪を肩にして、それに徳利や椀などを入れた魚籃を掛け、一人は莚包を右の小脇に抱え、左の小脇に焼明の束を抱えていた。皆同じように襤褸襦袢を一枚着て腰簔をつけていたが、どこか体のこなしにきりっとしたところがあって、ぬらくらした土地の漁師のようでなかった。
そこは長良川の西岸で、東岸には稲葉山が黄昏の暗い影を曳いてそそり立っていたが、その頂の城櫓の白壁には、夕陽の光がちらちらと動いていた。長良川の水はそのあたりで東岸に迫って流れ、西岸には広びろとした磧を見せていた。四人の鵜飼のうちで鵜を持ったほうの一人は、四十前後の痩せぎすな男で、一人は三十五六の角顔の体のがっしりした男であった。そして、莚包と焼明を持っているのは、三十前後の背の高い鋭い眼をした男で、艪を持っているのは、五十前後の背のずんぐりした白髪の目だつ男であった。四人は昼の暑さのために葉を巻いていた川柳がだらりと葉を延ばして、ひと呼吸つこうとでもしているように思われる処を通って、下手の方へ往った。