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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
それはもう途中で二度も三度も考えたことであったが。
……(今日は何しに来たのだ)
と云うのを待って、
(すみませんが……)
と、云うように頭を掻いてみせると、
(また金か、この間、くれてやったのが、もう無くなったのか、幾等いるのだ)
と、豪放な口のきき方をするのを待っていて、
(すみませんが、五円ぐらい……)
とやると、
(しょうの無い奴だ)
と、云って傍の手文庫の中から出してくれるが、何人も傍にいない時には一銭も出さない。……
彼は今日あたりは幹事の島田あたりがきっと来ているだろう、内閣割込み運動のような秘密な会合だとその席へは通れないが、普通の打ち合せで、それから晩餐でもいっしょにやると云うようなことであったら、通さないこともないだろう。そうなると金が貰えたうえに、酒にもありつけると思った。彼は好い気もちになって来た。
眼の前に壮い小供小供した女の顔が浮かんで来た。彼の心はその方に引かれて往った。
(小桜)
あれはたしかに小桜と云ったなと思った。それはその前夜吉原の小格子で知った女の名であった。
(今晩もずっと出かけて往こう)
登はふと足のくたびれを感じた。