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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页

青空文庫

「このあたりに、茶店はないでしょうか」

「近比まで、私の家で茶店をやってましたが、お父さんとお母さんが、本郷のお邸へお手伝いにあがるようになりましたから、止めっちまいました」

「そうですか」

「渋茶でよろしければ、さしあげましょうか」

「それはすみませんね、一ぱい戴きましょうか」

「おあげしましょう、なんなら上へおあがりになって、お休みになったら如何でございます、奥の室が涼しゅうございますよ」

登は女の云うなりに奥の室へ往きたいとは思ったが、気まりが悪いのですぐにはあがれなかった。

「そうですか、こちらは木があるのですから涼しいでしょう」

「涼しゅうございますよ、おあがりなさいまし、芝からいらしたなら、お暑かったでしょう」

「今日はばかに暑かったのですよ、僕はこの前の、山木さんの処へ往くもんですがね」

「あ、お邸でございますか」

「そうです、党のことで時どきやって来るのですがね、この路をとおるのははじめてですよ」

「そうでございましょう、ここはちょと入ってますから、それでもお邸へいらっしゃる書生さんが、よくおとおりになりますよ、店をやってます時は、お酒を飲んで往く書生さんがありましたよ」