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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
道家は刀を鞘に収めて立った。
道家は隠れ家に帰らずにそのまま川の堤の竹藪の中へ往って、彼の祠の前で夜の明けるのを待った。髯の白いよぼよぼした老人がどこから来るともなしに来て道家の前に立った。
「来たか、昨夜お前が魔者の呪いを斬り払ったから、もう通力を失うた、これを持って往って、見つけたなら、蓋を開けろ、それまでは蓋を開けてはならんぞ」
老人の左の手には小さな赤い土の壺があった。
「今日の丑の刻、あの寺の正門からずかずか入って往け、それにはここの祠の中を開けると、お前の着て往く物がある、それ、これを持って往け」
老人は壺をさしだした。道家はうやうやしくそれを受けた。
そして、眼をやると老人はもういなかった。そこで祠の扉を開けた。中には袈裟、頭陀袋、笠、手甲、脚絆の一切が入っていた。道家は老人の詞に従ってそれを着て旅僧の姿になり、丑の刻になって法華寺の別院へ往った。
別院の門のうちには十人ばかりの護衛の武士がいたが咎めなかった。彼はずんずん左の厨の方へ往って、書院と厨の間になった植込の中へ入り、そこから裏庭の方へ往くと二人の武士が床几に眠っていた。庭には彼の池があって何時か見た蟇が一疋浮んでいた。