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にっき
日記
宮本 百合子
06 一九二〇年(大正九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,923 字 · 46 页
六月十二日
六月十三日
六月十五日
六月十二日 土
時は過ぎて行く。恐ろしい程の早さで時は過ぎて行く。その飛んで行く時の意識を彼方に眺めながら、自分の意力の欠乏から為たい為せずには居られない事を出来ないで居るのは苦しい。真個に苦しい。力よ、力よ。
自分の弱い心、弱い魂は、不幸に圧倒される許りではなく、幸福に蒸殺されそうにさえなる。何が来てもしどろもどろになるのだ。
結婚後の一年は、或人にとって、無条件に楽しい時であり、或人にとっては、無条件に楽しいが故に苦しい時であろう。
六月十三日 日
今年の此の日記は、私にとって大きな意味を持つ記録である。自分は頁を繰って見て、五月以後から、自分の思想が段々落付いて、生活を観察するように成って来たのに心付く。四月は夢中だったのだろう。自分は母上とはまるで異った男性を内に蔵して居ると同時に母上の知られない女をも亦持って居る。結婚以来一年目で、漸々私は、真個に落付こうとし始めたのであろう。
六月十五日 火
自分達の結婚を祝ってくれた人の主なところへ廻る。麻田、瀧田氏、坪内先生。瀧田氏のところで、生田長江氏がライ病で、顔がくずれかけて居るのに、会へ出たり人に近よったりすると云う話をきいて、悲惨な気がした。