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にっき
日記
宮本 百合子
06 一九二〇年(大正九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,923 字 · 46 页
一月十八日
今まで気がつかなかったが、近頃、うちの生活の欠点が目立ってしかたがない。真個なら仕ないでいい事を、だけれども、と云う excuse で沢山して、仕事の量を減らして居る。現今の主婦が、充分な仕事を仕得ないのは、決して無理ではない。真個にやれないのだ。午後図書館に行く。同じ部屋でいろいろする人が粗野なのが多くて、いやな気持がする。
一月十八日 日
起きてから、千葉先生へ行こうとして父と一緒に家を出て、何か差上げるものと思って丸善へ行く。沢山本はあるが、なかなか思うようなものはない。いろいろ見て居るうちに初代伊太利名画集があった。よいものだと思う。けれども高かったので、浮世絵集を買ったが、もうおそくなったので、中通りの古道具屋へ行って見る。と、白い小さい鶴の子の香合があった。丸い、素朴な、こっくりとした陶器の仕上げを見て居ると、芸術が共通に持つあらたかさをしみじみと感じさせられた。
円らかな、てらいのない、晏如とした心持……。其は総ての芸術を通して持つべき気品なのであろう。かえってから、「加護」に就てツーさんに少し天理教の事をきく、夜更けてからどうしたのか、母上が妙にヒステリックに成って、沢山の不平を云われる。