轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

01 第一部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 148,519 字 · 296 页

青空文庫

「わけは知っている」と甲斐が云った。

達弥はびくっとし、涙で濡れた眼で、見あげた。甲斐は云った、「理由はおれが知っている」

甲斐を見あげた達弥の顔は、疑いと怖れのために硬ばった。

「だから、おまえが自殺しようとする気持も、およそ察しがつく」と甲斐は云った、「ほかの者なら、べつの手段をとるだろうが、おまえは自分で死ぬ覚悟をきめた、おまえは自殺するのがもっともいい方法だと考えたのだろう、おれはおまえの性分を知っている、そう思いつめた気持もよくわかる、できることなら死なせてやりたいが、おまえには生きていてもらわなければならない」

甲斐は茶碗を下に置いた。

「どんなばあいでも、生きることは、死ぬことより楽ではない、まして、いまのおまえは死ぬほうが望ましいだろう、しかし、達弥、おれはおまえに生きていてもらわなければならぬ、単に生きているだけでなく、死ぬよりも困難な、苦しい勤めを受持ってもらいたいのだ」

達弥は両手を膝に戻した。

「もしこのおれを、しんじつ三世までの主人とおもってくれるなら、おれのたのみもきいてくれる筈だ、こう云っては無理か」

「私にできることでございますか」