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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

次郎はきょとんとしている。

「じゃあ、ご飯は二階でみんなといっしょに差上げます。」

俊亮が先に立って朝倉先生夫妻を二階に案内した。大沢たちもすぐそのあとにつづいた。

階段をのぼると、一せいに拍手の音がきこえた。それは先生夫妻と俊亮とが席につき終るまで鳴りやまなかった。

生徒は楕円形の円陣をつくっていた。一番奥の方に三枚だけ座ぶとんがしいてあったが、それが朝倉先生夫妻と俊亮の席だった。朝倉先生をまん中に、夫人と俊亮とがその左右に坐った。大沢たちは俊亮のつぎに坐ったが、俊三だけは、少ししも手の同級生のところに割りこんだ。

みんなのまえには、菓子袋が一つずつ置いてあり、ところどころに湯呑をのせた盆が置いてあった。拍手が終ったあと、しばらくは、いやにしんとしていた。

「あいさつや話はあとだ。先ずめしにしよう。どうだい、すぐ運ばないか。」

俊亮は大沢たちを見て言った。それはみんなにもはっきりきこえるほどの声だった。大沢はすぐ立ち上ろうとした。すると次郎が言った。

「先輩は坐っていて下さい。僕たちで運びます。」

それからみんなの方に向かって、

「四年と五年の諸君は手伝ってくれたまえ、飯や汁をはこぶんだから。