轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ししゃのけんり

死者の権利

浜尾 四郎

「週刊朝日 秋季特別号」1929(昭和4)年9月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,854 字 · 61 页

青空文庫

十四

もし、春一が車が崖から落ちるまでに飛び出しはしないか、扉をあけて出て来たらどうしよう。そうしたらとんで行って崖からつき落とすより外はありませぬ。

自動車は猛獣のような声を立てて進んで行きます。真に息詰るような数秒間でした。

真昼のような光景が、ぐんぐんと前に進んで行きます。それが恰度三角形になっています。だんだんその三角形が小さくなります。と見るうち、照し出された土の道は、急に先が短くなりました。あっと思う間に車は崖の尖端に行ったと見え、今まで明るかった周囲は突然暗くなり向うの空に向って異様の光が照らし出されました。

然しそれも一瞬間でした。私はその瞬間にガラスの破れる音をきいたように思います。同時に春一の悲鳴を聞いたように思います。

次の刹那に車は前にのめり、ゴーッという音を立てて、後車輪をあげたと思う間もなく突如世界は闇にかえりました。

私は我に返ってとびおきました。断崖から下を見ればただどうどうという激流の音が聞えるばかりです。私はそこに膝まずきました。そうして闇の中で妹の名をくりかえしよんだのでした。

十四

私は湖畔に出て、夜の中に向う側のT線のK駅にたどりつきました。