轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たきぐち
滝口
山本 周五郎
「小説新潮」新潮社、1963(昭和38)年11月〜1964(昭和39)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,815 字 · 99 页
そこで先代の河内守正元が、菩提所の地続きに清法院を建て、松室氏は鶴心尼となのってその庵主となった。さえはその鶴心尼をたよって清法院に入ったのである。
「よく聞いてみるとほかにも事情があったようだ」と安宅は話し続けた、「――相手はわからないがみそめられて、どうしても嫁にゆかなければならなくなったという、下には弟が二人いるし、断わる口実がない、それで尼になったのだということだ、そのほうが実際の理由だったかもしれないが、おれにはそれだけだと思いきることができなかった」
「もちろんよ」とおりうが低い声で云った、「それはあなたの罪にきまってますわ」そして安宅をにらんでからきいた、「いまその方、どうしていらっしゃるんですか」
「五年ばかり京のほうへ修業にゆき、いまは戻って鶴影尼となのり、清法院の庵主につかえている」
「おきれいな方なのね」
「そういうこととはもう縁のない人だ」と云って安宅は顔をそむけ、さりげない口ぶりで呟いた、「――それ以来、おれは、噂やかげぐちでは、人の判断をしないことにしているよ」
おりうはうなだれて、安宅の言葉をあじわうかのように、独りでそっと頷いた。