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しろうまだけ
白馬岳
木暮 理太郎
「教材講座」1927(昭和2)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,746 字 · 28 页
上越国境の清水山塊に位置する仙倉山は、三条の並行した残雪に依りて三之字之頭なる名があり、北麓土樽村の人はその一条ずつ消え去るに従って、農事の季節を卜するのは面白い、即ち三之字で苗代、二之字で豆蒔き、一之字で田植と言いならわされている。其外越中には鯉や鮒の形が現れる為に鯉鮒山と称せられる山もあり、又山ではないが「う之字谷」などいう谷もある。斯様な例は積雪の多い地方に尚お少なからず存することと思う。
白馬岳なる名は信州の称呼であること前述の通りであるが、越後では之を大蓮華山と称している。幾つかの峰頭が山頂に兀立するさま蓮の花に似ているからだということである。けれども同じ山脈中の三俣岳などは、熊を捕った猟師が食料に窮して、熊の肝臓(土人は之をレンゲと称する)を食ったとかで、之を嘲る意味でレンゲ喰みの岳というたことからレンゲ岳となり、それに蓮華の二字を当てた例などもあるので、能く調べた上でないと信用されない。越中方面の名称は不明である。但し天保頃のものと思われる地図に、上駒ヶ岳の名が三国界に記入してあり、今の鑓ヶ岳と思われるものに不帰岳と書し、傍に「信州にては蓮華山と称す」