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あわだぐちしめすふえたけ(さわのむらさきゆかりのさきわけ)

粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)

三遊亭 円朝

02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,342 字 · 389 页

青空文庫

、踵の締った、横骨の引込んだ上ものでございます。一人娘ゆえ秘蔵に致し気儘に遊ばして置きましたが、日暮方から羽根を突きに往って帰りません。此の家に恭太郎という弟子がございましたが、親方にも当人にも年の分らない、色気もなく喰い気一方の腑抜な男でございます。金重は大人ゆえ愚なものほど愛して居りました。

金「恭太や/\」

恭「えゝ」

金「お富は何処へ往たのう」

恭「表のての字の前で羽根を突いてたよ」

金「往って呼んで来な、日が暮れるからさっさと御飯を食べてお寐なさいと云って呼んで来な」

恭「あいよ」

と云いながら外へ出て参りました。その横町を真直に出ると、ての字と云う居酒屋の前が広く成って居りまする処で、カチーリ/\とお富は友達と羽根を突いて居りまする傍へ恭太郎が来て、

恭「おい、お富さん、お富さん」

富「何んだよウ」

恭「あの親方がもう止せってえから、羽根を突くのは明日におしよ、日が暮れると暗く成るよ、お飯を喰べないと腹が空るとさ、早く寐ないと眠く成るとさ」

富「何を同じような事をいうのだよ、あいよ今直ぐに帰るから少し待っておいで……きいさん上げますよ、宜うございますか、さア上げますよ」