轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

02 中巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页

青空文庫

妙子の今日の装いを見るにつけても、本家の姉がこの衣裳を着て式を挙げた遠い昔の日のことを想い起して感慨無量になったとでも云うのか、そうでなかったら、こう云う浮いたことではなしに、妙子が晴れの装いを凝らして嫁ぐようになるのはいつの日であろうかと思い、まだその前に雪子と云うものがあることなどにも思い及んで、悲しくなったとでも云うのであろうか、恐らくそれらの総べてのことが妻の心頭に湧いたのかも知れないと、貞之助は察した。それにしても、今日の妙子のこの姿を見たがっている者が、雪子の外にもう一人いる筈だと思うと、流石に貞之助はその男の心中を可哀そうにも感じたが、そう云えば板倉が写真を撮りに来ているのは、事に依ると啓坊の云い付けなのではあるまいかと、ふっとそんな風に気が廻った。

「里勇さん」

と、妙子は撮影が済んでしまうと、部屋の向うの隅の姿見の前で、「雪」のあとに出る「茶音頭」の支度をしている、二十三四歳の芸者と見える人を呼んだ。

「―――済みませんけど、あんたにお願いがありますねん」

「何でんねん」

「あのなあ、ちょっと彼方の部屋まで来とくなされしませんか」

今日舞う人達の中には四五人のくろうと、―――舞の師匠を職業にしている名取の婦人たちと、芸者が二人交っていたが、里勇と云うのは宗右衛門町から出ている妓で、おさく師匠から特別