轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
02 中巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页
途中彼女は、余り降り方が物凄いのと、自警団の青年などが水の警戒に駈け歩いているので、廻り道をして蘆屋川の堤防の上へ出、水量の増した川の様子を見て戻って来て、業平橋の辺は大変でございます、水が恐ろしい勢でもうすぐ橋に着きそうに流れておりますなどと語っていたが、それでもまだそんな大事に至ろうとは予想すべくもなかった。で、お春が帰ってから十分か二十分の後に、今度は妙子がエメラルド色のオイルシルクの雨外套を着、護謨靴を穿いて出かけようとした際にも、こいさん、まあえらい時に出かけるねんなあと、幸子が云ったことは云ったけれども、今朝は妙子は夙川ではなしに、午前中に本山村野寄の洋裁学院へ行く日だったので、これぐらいな雨何でもあれへん、水が出たら却って面白いわ、などと冗談を云い云い出て行ったのを、止めないでしまった。ただ貞之助だけは今少し小降りになるのを待つ積りで、書斎で調べ物などをしながらぐずぐずしていると、やがてけたたましいサイレンの音を聞いたのであった。
その時雨は最も激しく降り出していたが、貞之助が見ると、此処の邸内で一番低いと思われる、ちょっとした雨にもよく水が溜る書斎の庭の東南の隅の、梅の木の下が二坪ばかり池のようになっている外には、自分の家には何の異状も認められなかったし、それに此処は蘆屋川の西の岸から七八