轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
01 上巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页
と云うところの卯木の一種であることを知ったが、この花の咲くのは、いつも小手毬やライラックが散った後、離れ座敷の袖垣のもとにある八重山吹の咲くのと同時ぐらいなので、今はまだ、ようよう若葉が芽を吹きかけているだけである。その「さつまうつぎ」の向うが、シュトルツ氏の裏庭との境界の金網になっていて、網に沿うた青桐の下の、午後の陽光がうらうらと照っている芝生の上に、悦子がさっきからローゼマリーと二人で蹲踞まりながら、飯事をしていた。二階の欄干から見おろすと、玩具の寝台や、洋服箪笥や、椅子や、テーブルや、西洋人形など、こまこました物が並んでいるのが残らず見分けられ、二人の少女の甲高い声がはっきり聞き取られるのであるが、二人は雪子に見られていることに気が付かないで、遊びに夢中になっていた。ローゼマリーが、
「これ、パパさんです」
と、左の手に男の人形を持ち、
「これ、ママさんです」
と、右の手に女の人形を持って、両方から顔を押しつけては、口の中で「チュッ」と舌を鳴らしているのが、最初は何をしているのやら分らなかったが、なおよく見ると、二つの人形に接吻させているのらしく、自分で「チュッ」