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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

01 上巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页

青空文庫

そして、何と云う不健康な厭な遊戯をしていることかと思い、これなども例の衛生教育の余毒であると感じて、それからは一層、何とかして是正しなければいけないと云うことを始終考えていたのであった。ただ、肝腎の悦子が誰よりも雪子の云うことを信じるようになっており、その雪子の遣り方を妻が支持しているのでは、下手な干渉をすると家庭に風波を起すだけで終ってしまう危険があるので、機会を待っていたのであるが、雪子がいなくなったことは、そう云う点からよいことであるように貞之助は見ていた。と云うのは、従来貞之助も雪子の境遇には密かに同情していたので、娘の躾と云うことも大切ではあるが、雪子が受ける精神的打撃も考えてやらねばならず、彼女を僻ませないように、「邪魔にされた」と云う感じを持たせないように、悦子から遠ざけてしまうことは容易でなかったのに、それが今度は自然に解決した訳で、雪子さえいなくなれば、妻の方は扱い易い、と云う腹があった。で、雪子ちゃんを気の毒に思う心持は僕もお前と同様なのだから、雪子ちゃん自身が帰って来たいと云うなら拒みはしないが、悦子のために呼び戻すと云うことは賛成しかねる、なるほど、悦子を扱うことは馴れているから、来て貰えばさしあたり助かるには違いないが、僕に云わせると、悦子が今のような神経衰弱になった遠い原因は