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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

01 上巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页

青空文庫

調べておられ、妹さんの御器量なども何処かでお見かけしたらしくて、待つのはいくらでも待つから、是非あの方をと、浜田氏を通じて熱心に申し越しておられるのです、何にしても、一遍お会い下さると、私も浜田氏に対して顔が立つのですが、………と、そんな文面なのであったが、幸子には渡りに船であった。で、いつぞやの野村巳之吉と云う人の写真に、陣場夫人のこの手紙も添えて、こう云う話があるのですが如何ですか、陣場さんは兎に角見合いをさせることを急いでおられるようですが、雪子ちゃんはこの前のこともあり、調べを先にしてからでなければ会うのは厭だと云うでしょうから、宜しかったら私達の手で大至急調べますけれども、先ず兄さんや姉さんの考を聞かして下さい、と云ってやると、五六日過ぎて、姉にしては珍しいことに長い返事の手紙が来た。―――

拝復

おくれ馳せながら新年おめでとう存じます、そちら皆々様お揃いよきお正月をお迎えなされし由およろこび申します。此方は初めての土地にて何やら一向それらしい気分も味わず松の内もあわただしく過してしまいました、東京と云うところは冬が取り分けしのぎにくいと聞いていましたが一日として名物のから風が吹かぬ日はなく寒に入ってからの寒さはまことに生れて始めてのことにて今朝などは手拭が凍って棒のようになりバリバリ音がするのです