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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
01 上巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页
、それでも三人のほんとうの歳を知っている者は少かったであろう。幸子には悦子と云うものがあるので、そんなに隠せはしない筈だけれども、その幸子さえどうしても二十七八以上には見えず、まして嫁入前の雪子はせいぜい取っていても廿三四、妙子になると十七八の少女に間違えられたりした。だから雪子などは、本来ならばもう「お嬢さん」だの「娘ちゃん」だのと呼ぶのには可笑しい年頃なのだけれども、誰もそう呼んでいて奇妙に思う者はなかったし、又三人ながら派手な色合や模様の衣裳がよく似合うたちなのであった。それは衣裳が派手であるから若く見えると云うのではなくて、顔つきや体つきが余り若々しいために派手なものを着なければ似合わないと云うのが本当であった。貞之助は、去年この姉妹に悦子を連れて錦帯橋へ花見に行った時、三人を橋の上に列べて写真を撮ったことがあって、その時詠んだ彼の歌に、―――美しき姉妹三人居ならびて写真とらすなり錦帯橋の上、と云うのがあったが、全く、この姉妹はただ徒に似ていると云うのとは違って、それぞれ異なった特長を持ち、互に良い対照をなしながら、一方では紛う方なき共通点のあるところが、見る人の目にいかにもよい姉妹だと云う感を与えた。