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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

と叫びざま堀口生に横なぐりを食わせた。倒れる。高谷君が上になる。

「どうだ?」

「…………」

「これでもか?」

と高谷君は勝ちに乗じた。

「堀口!」と正三君が呼んだ。

「さあ、きみやれ!」

と高谷君は初めて気がついて正三君にまかせた。しかし堀口生は倒れたまま立てない。うつぶしになって頭をかかえた。正三君はもう手を出さなかった。

「堀口君、堀口君」

と鼻血だらけの尾沢生がやってきてたすけおこした。篠崎生と小川生も寄りそった。弥次連中はヤイヤイとはやしたてた。

「堀口君、これにこりてこれからは気をつけたまえ」と松村君がさとした。

「…………」

「皆おこってきみをなぐるといっている」

「なぐれ! 存分なぐってくれ」

と堀口生は腕をくんだ。

「しかし僕は止めているんだ」

「止めないでもいい。どうでもしてくれ」

「よし。きみはこれまで皆をいじめている。これは級ぜんたいからのその返礼だ。つつしんで受けたまえ」

といって、松村君はコツンと一つ拳骨で頭をぶった。堀口生は目をつぶっていたが、がらになく涙をポロポロこぼした。それから、

「尾沢」と呼んだ。

「なんだい?」

「その上着のポケットからナイフを出してくれ」