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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

僕ははたから応援です。『内藤、しっかり! 内藤、しっかり!』って。ねえ内藤君、きこえたろう?」

「はあ」

「きみも一生懸命だったが、僕も一生懸命だった。その中に尾沢は鼻を打たれて、鼻血がドクドクドク……」

「よしてちょうだい」

と妙子様から故障が出た。

「ふいてもふいても、ダラダラダラダラダラ」

「照彦!」

と奥様は鶴の一声。照彦様はだまってしまった。

喧嘩の物語は学習室でくりかえされた。気の荒い照常様が興味を持って、

「照彦、内藤がどんな風にやったか初めから話せ」

と命じたのだった。

「えらい」

と照正様も所々で感心した。

「痛快痛快! 内藤、強いんだなあ、きみは」

と照常様は大喜びだった。

「もうやりません」

と内藤君は謙遜した。

「なあに、かまうものか、照彦にからかう奴があったら、皆やっつけてしまえ。僕が柔道の手を教えてやる」

と照常様は奨励した。

学監の安斉先生は奥様のご注意で、後刻、

「内藤君、ちょっと」

と呼びにきた。正三君は学監室へついていって、

「申しわけありません」

とうなだれた。

「いや、察しています。平民の学校はこれだからいけないのです」

「…………」