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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

正三君も骨が折れる。このだだっ子をだましすかして及第のできるように計らわなければならない。子供の仕事としては荷が勝っている。祐助さんが案じるのもここだ。しかし都合のいいことに、照彦様は一晩寝ると後悔する。翌朝正三君が、

「お早うございます」

とあいさつした時、

「お早う」

ときげんよく答えたばかりか、食事をすませて学校へでかける支度をしながら、

「きみ、これをあげる」

といって、金のメダルを手のひらへ乗せて出した。これは照正様が運動競技で取ったのをいただいたのだった。

「僕、いりません」

「まあ取ってくれたまえ」

「いいえ、いりません」

と今度は正三君がすねる番だった。照彦様は昨夜むりをいったことを後悔している。しかしあやまるのは残念だから、相手の好きそうなものを提供してごきげんをとるのだった。正三君はそれがわかっている。ほしいけれどかけひきがある。

「きみはまだおこっているのかい?」

「…………」

「なんとかいいたまえ」

「僕はばかです」

「きみ」

「なんですか」

「さあ」

と照彦様はメダルを正三君の手に押しつけた。

「僕はいやです。カンニングをしたがるような人から物をいただきません」