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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

皆あなたのお力だと橋本先生がおっしゃいました」

「正三や、お前勉強の仕方を教えてあげたらどう?」

とお母さんは得意だった。

「僕、そんなことができるものですか。友だちですもの」

「ご交際をしていただく間に自然いい感化をうけますから、どうぞ一つ力になってやって……」

と堀口生のお母さんは子を思う一心で、しきりに頼みこむ。

「それはきっといたします。よくご勉強なさるようにも折りを見て申しあげます」

「どうぞね」

「はあ」と正三君がとうとうひきうけたので、堀口生のお母さんは喜んで帰っていった。

「祐助や、家の正三はえらいものね」

とお母さんは溜め息をつきながら一部始終を話した。

「結構ですな」

「成績の神様ね」

「ハッハハハ」

「でも、華族様からも平民からも頼みにくるじゃないの?」

「そんなにほめると、ダンダンばかになってしまいますよ」

と祐助君は笑いながら障子をはりつづけた。

明るい年頭

元日の朝、正三君はおやしきの内玄関へ上がるとすぐに、照彦様のお部屋へ急いだ。廊下で家令の富田さんに会ったので、年頭の礼を申しのべた。それから周囲を見まわしながら、

「照彦様」

といきなり襖をあけて覗いたとき、