轻松读懂日语经典作品
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
「いや、きみがくれば大じょうぶだ。いこう。さあ、来たまえ」
と照彦様は正三君の手を引いて長廊下を駈けだした。
お姉様はご長男の照正様とご次男の照常様のお次にあたる。妙子様といってお年は十六、女子学習院へ通っていられる。上のお姉様方はお二人とももうかたづいていらっしゃるから、お姫様はこのお一方だ。伯爵家ではお姫様方はみんなお成績がおよろしい。ことに妙子様は才媛で、お母様のご鍾愛をほしいままにしている。お部屋もお母様のおとなりだった。
「お姉様」
「照彦さん?」
「はあ」
「何ご用?」
と妙子様はお部屋の内からきいた。入れない算段だった。
「だめだ。まだおこっている。妙子、妙な子、おこりっ子!」
とつぶやいて、照彦様は首をちぢめた。
「照彦さん!」
とそれが内まできこえたようだった。
「お姉様、内藤君がちょっとご機嫌を伺いにあがりました。僕はお供です」
と答えて、照彦様は舌を出した。ナカナカ平民的だ。
「それならおはいりなさい」
正三君はもう仕方なく、照彦様に押されて先にはいった。
「よく来てくださいましたのね。さあ、どうぞこちらへ」
と妙子様は刺繍台の前に坐ったままお愛想よく請じた。