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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
君心あれば臣心あり。ハッハハハハ」
と安斉先生は正三君の解釈にまかせた。
正三君は部屋へひきさがって、安斉先生のいわゆるメントル・テストを考えた。負けるにおよばん勝つにおよばんでは引き分けの外ない。しかし引き分けは五分五分だから対等だ。対等では忠節がつくしがたいとある。君臣上下の別を守っていつもこっちが下になる。それでは勝てっこないのだが、そこだという。どこだろう? やっぱり負けるのかな。
と、それなら初めから気がついている。しかしそれではへつらい武士で風上にもおけない。君心あれば臣心あり、なるほど、このへんかな? ここは先生が二度おっしゃった。かならずしも負けるにおよばんが、むりに勝つにもおよばん。そこをしかるべくお相手する。
「ここ、ここ」
と正三君はさすがに頭脳明敏だった。
照彦様はまもなく台所で見つかって、お母様のお部屋へ引かれてゆく途中、小間使いの手の甲に歯あとの残るほどかみついて、また一つ罪がふえた。しかし正三君が呼ばれてまかり出た時にはもうすっかりお叱りずみになっていた。
「さあ、照彦や、内藤さんとお仲直りをなさい」
とお母様がおっしゃった。