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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
安斉先生はその都度、
「このごろの人間は君公ご馬前の精神が足りない」
と慨嘆して、現在のような中老の先生ばかり採用することにした。
さて、その晩、照彦様と正三君は国文と英語の予習をやった。先生は二人ともナカナカ念入りで、
「ここでは先生がこの熟語を本からはなしてきくかもしれません。その時はいま申しあげたとおりに答えるのです」
と一々教室のかけひきまで教えるから、二時間ばかりかかった。学校の授業と少しもことなるところがない。照彦様は中央の机へ戻ってから、あくびをしながら、
「どうも頭へはいらない。ふだんからいけないところへ蜂にさされてつっぱっている」
とぐちをこぼした。これは一つにはあまりできのよくないところを初めての正三君に見せたから、そのいいわけのつもりだった。
「そんなこともありますまい」
「いや、蜂の毒が頭の中へしみこんでいる」
「ところで今度は数学ですか?」
と正三君がきいた。
「明日は数学はないよ」
「なければやらなくてもいいんですか?」
「大きな声を出すなよ」
と照彦様は安斉先生の方をぬすみ見て、安心の胸をたたくまねをしながら、
「時間割りにないものをやっちゃ損をする」