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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
岡本綺堂『蜘蛛の夢』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蜘蛛の夢、穴、有喜世新聞の話、恨みの蠑螺、火薬庫、真鬼偽鬼、慈悲心鳥、女侠伝、廿九日の牡丹餅、放し鰻、馬妖記、平造とお鶴。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,189 字 · 298 页
」と、わたしはまた訊いた。「男の幽霊が女の墓にはいったというわけだね。」
「それだから少しおかしい。県令はすぐに王家の主人を呼出して取調べたが、なんにも心当りはないと答えたので、本人立会いの上でその墓を発掘してみると、土の下から果して一人の男の死体があらわれて、顔色生けるが如くにみえたので、県令はさてこそという気色でいよいよ厳重に吟味したが、王はなかなか服罪しない。自分は決して他人の死骸などを埋めた覚えはない。自分の家は人に知られた旧家であるから、母の葬式には数百人が会葬している。その大勢のみる前で母の柩に土をかけたのであるから、他人の死骸なぞを一緒に埋めれば、誰かの口から世間に洩れる筈である。まだお疑いがあるならば、近所の者をいちいちお調べくださいというのだ。」
「しかしその葬式が済んだあとで、誰かがまたその死骸を埋めたかも知れないじゃないか。」
「そこだ。」と、K君はうなずいた。「シナの役人だって、君の考えるくらいの事は考えるよ。県令もそこに気がついたから、さらに王にむかって、おまえは墓の土盛りの全部済むのを見届けて帰ったかと訊問すると、母の柩を納めて、その上に土をかけるまでを見届けて帰ったが、塚全体を盛りあげるのは土工に任せて、その夜のうちに仕上げたのであると答えた。