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おりべというとうき

魯山人陶説

北大路 魯山人

北大路魯山人『魯山人陶説』。同一底本的分册已合并为一书。收入:織部という陶器、乾山の陶器、芸美革新、古唐津、古九谷観、志野焼の価値、瀬戸黒の話、陶器鑑賞について、備前焼、料理と器物、雅美ということ、古器観道楽、坐辺師友。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,241 字 · 127 页

青空文庫

陶器鑑賞について

大正八、九年ごろという古い話になりますが、こういう話がありました。当時の入沢医学博士から私が直接に聞いたことでありますが、博士がある時、図らずも大河内正敏理博と東海道西下の汽車に同乗したことがあります。その際のこと、ちょうどいい機会と医博は思いついたのでしょう、「この車中に於て一、二時間の間に、陶器鑑賞に関して素人の僕にわかる様に話して貰えないか」と、日頃の希望を注文してみましたところ、大河内博士は、「それはちょっとむずかしい問題で、いくら簡単に話したところで到底一時間や二時間で話せるものではありません。詳しく説明すれば一年も二年もかかるでしょう」

車中一、二時間それはだめだ……。

と言った塩梅の返事だったそうです。

そのころの私はまだ陶器美術に関しては、全然知識のなかった時代でありましたので、陶器の話というものはそんなものか……と思っておりました。しかし、もし只今の私でありましたら、その質問に対して、医博の注文通り一、二時間でそのご要求にお答え出来たであろうというような気がいたします。

その時の入沢博士の質問の気持と、大河内博士のお話になろうと考えておられた内容とには大きな開きがあったように思われます。