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おりべというとうき

魯山人陶説

北大路 魯山人

北大路魯山人『魯山人陶説』。同一底本的分册已合并为一书。收入:織部という陶器、乾山の陶器、芸美革新、古唐津、古九谷観、志野焼の価値、瀬戸黒の話、陶器鑑賞について、備前焼、料理と器物、雅美ということ、古器観道楽、坐辺師友。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,241 字 · 127 页

青空文庫

思えば乾山の土不精はずいぶん罪なことをしたものだ。

乾山は画人として立つべきであったのだ。兄が画人だから遠慮したと言うわけもなかろう。宗達や光琳のように、花鳥、山水、人物、なんでも描くとは行かなかったためばかりでもあるまい。

私は乾山のためにこの点について弁護してみたいと思う。

「乾山は孔子のいわゆる芸に遊んだのだ」と、「従って俗欲がなかったのだ」と。

光琳は世間にもて囃されると同時に、優れた画人として芸に働いたと見られるのである。知らず知らず職業画人となりすまして、天才に精力の輪をかけたとも見られるのである。

そこへ行くと、乾山は腹の底から職業意識に働くことは出来なかった。どこまでも芸に遊んだ道楽者である。世間的に偉い者になろうとは願わなかったのであろう。だから絵も書も玄人くさくは陥らない。ここが乾山の値打ちのあるところで、洗練された光琳に見ることの出来ない持ち味を見せるのも、実はこの匠人気質に堕さなかった個性にある。

それにしても、乾山がせっかく製陶に関係しながら、土に不徹底であったことを、やはり、私は惜しむ。(昭和八年)