轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

う

鵜

山本 周五郎

「講談倶楽部」博文館、1954(昭和29)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,733 字 · 38 页

青空文庫

「そこをとおして下さい」

「出してやるものか、断じてだ」

さだは静かに前へ進んだ。小五郎は立ち塞がった。しかし彼女がそれをよけて、次の座敷へゆくと、うろたえたようにあとを追った。

「待ってくれ」小五郎は云った、「せめて、せめて父上が帰ってからにしてくれ」

さだは廊下へ出た。

「待たないのか、本当に出てゆくのか」

さだは玄関のほうへゆきながら、召使の名を呼んだ。侍女が返辞をして出て来た。すると小五郎が喚いた。

「おのれ、出るな」

侍女はふるえあがって、そのまま部屋へ引込もうとした。さだが振返った。

「義兵衛に云っておくれ」とさだは侍女に云った、「表へ乗物をまわすように、いそぐからすぐにと云っておくれ」

侍女は小走りに走った。

「どうしても出るのだな」小五郎は逆上したように云った、「もういちど念を押す、どうしてもここを出てゆくつもりか」

さだは玄関へ出ていった。

「よし、できるならやってみろ」

小五郎は追っていった。彼の前袴へ挾んであった扇子が落ちた、彼は玄関へ出て、刀を左の手に持ち替えた。

「できるならやってみろ」と彼は逆上した声で叫んだ、「おれはこの家から生かしては出さない、おれはきさまを斬る」