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こくびゃくストーリー
黒白ストーリー
杉山 萠円
「黒白」1925(大正14)年5月号~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,356 字 · 42 页
材木の間から
――1――
材木の間から
――1――
飯田町附近の材木置場の中に板が一面に立て並べてあった。イナセな仕事着を着た若い者三平はその板をアチコチと並べ直しながらしきりにコワイロを使い、時には変な身ぶりを交ぜた。三平は芝居気違いであった。
三平はふと耳を澄ました。材木の間から向うをのぞいたが、忽ち眼を丸くして舌をダラリと出した。
インバネスに中折れの苦味走った男と下町風のハイカラな娘が材木の積み重なった間で話しをしている。
三平は耳を板の間に押し込んだ。
…………
じゃ今夜飯田町から……
終列車……
エ……
ここで待っててネ……
妾がお金を盗み出して来るから……
二千円位あってよ……
…………
三平はビックリして又のぞいた。
…………
…………
娘は立ち去った。
あとを見送った男は舌なめずりをしながらあたりを見まわした。凄い顔をしてニヤリと笑った。
三平は材木の隙間から飛び退いた。そこをジッと睨んで腕を組んだ。そのまま鳥打を眉深に冠り直して材木の間を右に左に抜けて往来に出た。キョロキョロと見まわした。
往来は日が暮れかかっていた。
はるか向うに今のハイカラ娘が行く。