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あだこ

あだこ

山本 周五郎

「小説倶楽部」1958(昭和33)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,762 字 · 46 页

青空文庫

彼女はまだ十五歳とちょっとで、いつもは子供っぽい少女としか思えなかったのであるが、素裸になったからだはおどろくほど女らしく、殆んど成熟しているようにみえた。みすずは頭部が小さく、手足もしなやかに細く、胴もほっそりとくびれていた。しかし胸のふくらみの豊かさと、腰部から太腿へかけての肉付きは、そこだけがべつの存在であるかのように、たくましい厚みとまるみと、そうして重たそうな緊張をみせていた。

――あたしきれいじゃなくって、

みすずは彼の顔色をうかがいながらそう云った。きれいだ、と彼は答えた。いやらしい気持や、不徳義な感情は少しもなかった。

そんな気持を感ずる余地もないほど、彼は圧倒されおどろいていたのだ。

――あなたのために大事にして来たのよ、よく見てちょうだい、あなたのためにきれいにし、大事にして来たのよ。

彼女は大胆に自分のからだをみせた。前に向き、うしろに向き、横を向き、そしてさまざまな、奔放な姿勢をつくってみせた。そうだ、彼はよく覚えている、みすずはそうしながら、絶えず彼の顔色をうかがっていた。彼の顔にあらわれる反応をさぐろうとするように、また、その期待のために自分で昂奮しながら。