轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つばくろ
つばくろ
山本 周五郎
「講談倶楽部 秋の大増刊」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,987 字 · 44 页
悪意のないことは云うまでもない。結婚に失敗してもさして苦にしない、さばさばと割切った性質なので、感じたままを云ったのではあろうが、高雄には胸を刺されるほど痛い言葉だった。彼は叫びたい衝動を辛うじて抑え、そこを立ちながら哀願するように云った。
「どうか母親のことは云わないで下さい、できるなら母親を忘れるようにしてやって下さい、……ことによると、死別してしまうかもしれないのですから、どうかお願いします」
高雄はなるべく大助を見ないようにした。おいちが去った日から、大助はぷつっと母の名を口にしなくなった。それは知っていたけれども、まだ頑是ない年のことでもあるし、まわりに人が多いので気がまぎれているのだろうと思った。母を恋い慕われるよりいいので、かくべつ気にとめてはいなかった。それだけよけいに勝江の言葉にまいったのである、……母のことをきかれると話しをそらすとか、いやな顔をするという。それは母の去った理由を感づいているのではないか、療養にいったのではなく、もう帰って来ないということを本能的に気づいているのではないか。
――親に早く別れる子は親を慕わない。