轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いちしょうにんとして
一商人として
相馬 愛蔵
――所信と体験――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,895 字 · 222 页
むろん万人から見て東京は大いなる魅力であろうが、それはちょうど明治の初め西洋崇拝に駆られて、日本古来の美術工芸品を二束三文に外国に捨売りし、何でもかんでも舶来でなくては気が済まなかったのと同じことで、遠からず失うたものの価値が解り、必ず後悔する時が来るであろう。すなわち地方人はその地の特産を大切にし、保護するとともに一段の改善を加えて発達を図り、地方色を確保することが必要である。私は好んで各地を旅行するが、これはと思うような土地特有の名物に接することは至って少なく、たいがいは都会におけるありふれたものの模造であり、失望することが常である。先頃私の友人がギリシャに遊び、往昔文化の中心地であったアゼンの都において記念品を求めようとしたところ、眼につくものはたいてい日本製品か独逸品のみで、ギリシャ特有のものは何も見当らなかったということで、大いにその国土のために嘆かれたということである。
私はこれらの話をして地方人の不心得を指摘し、大いに注意を喚起したのであったが、これはひとり地方だけのことでなく、都下屈指の商店にしても模倣を事として目前の安易に慣れているものが多いのである。