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いちしょうにんとして

一商人として

相馬 愛蔵

――所信と体験――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,895 字 · 222 页

青空文庫

規律はあっても店則がないのと同様、これは自ずと決定した我々の思想であり、また実行であるにすぎない。しかしまずこの条々についても少し実際的に言って見ると、

子供手当及び老人手当は現在のところ一人につき四円ずつを出すことにしている。

店の繁忙に伴う労苦に対する利益分配は、総売上げの三分と、一日七千二百円(売上げの増減に従い上下す)以上の売上げのあった日の二分、年度末の決算に当って純益の一割を全員に分配する。

老後の用意については、早大総長田中穂積博士が、私立学校の教授に恩給の制度のないのを遺憾に思い、数年前から十年以上教務に服した先生方に対し、校費で千円の保険を付け、二十年以上の先生には二千円の保険を付けることにしたとの話を聞き、私も店員に同様の方法を取り、すなわち十年勤続者には千円を、二十年勤続者には二千円の保険を付けることにし、早速この昭和十二年二月から実行した次第である。

店員の慰安の催しについては、以上の方法によってまず一通り生活に不安のない程度には達しているが、まだこの給与では娯楽を求め趣味を向上させることは難かしいのであるから、特にこちらでその機会をつくり、現在年二回以上の観劇と一回の角力見物をそれぞれ一等席で招待し、また会食は一流料理店を選び、洋食の食べ方、食卓の作法など、少年店員たちもこの機会