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いちしょうにんとして

一商人として

相馬 愛蔵

――所信と体験――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,895 字 · 222 页

青空文庫

の中に詳しく書いているから、それを参照してもらうことにして、私はむしろ「黙移」を補足する程度にごく大略を述べることにする。

ボースは印度ベンゴールに生れた。階級の厳重な印度で彼の家は四階級の第二なる王族階級であった。彼は十六歳の時父のもとを離れ、祖国を英国の圧制より救わんとする革命運動に投じ、そのうちにラホールにおいて印度総督に爆弾を投じて以来、英国政府は彼の首に一万二千ルピーの懸賞金を付していた。

しかも彼は巧みに英国の魔手を逃れ、大正四年六月日本に亡命した。英国政府も彼が日本に入ったことを察知し、内々探査を進めていたが、その年十一月、在日本の英国官憲はついにボースを発見、日本政府に迫って彼を国外に追放せしめようとした。しかしこういう政治犯は各国ともにこれを保護する習慣であるし、現に英国自身国際的先覚者をもって任じ、その本国では各国の亡命客をどこの国よりも多く保護しているくらいであるから、ボースを印度革命の志士だと言ったのでは、日本に対し目的を達することができない。そこで苦肉の策を案じ、ちょうど欧州大戦中であったから、ボースを世界の敵なる独逸の秘密探偵として日本に潜入したものであるとなし、彼が日本から追われて領外に出るのを待って殺そうという計画を立てた。