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ごじゅうのとう
五重塔
幸田 露伴
「国会新聞」1891(明治24)年11月~1892(明治25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,316 字 · 111 页
汝にはちょっとしにくかろうが、それらには我の顔も貸そうし手も貸そう、丸丁、山六、遠州屋、いい問屋は皆馴染でのうては先方がこっちを呑んでならねば、万事歯痒いことのないよう我を自由に出しに使え、め組の頭の鋭次というは短気なは汝も知って居るであろうが、骨は黒鉄、性根玉は憚りながら火の玉だと平常云うだけ、さてじっくり頼めばぐっと引き受け一寸退かぬ頼もしい男、塔は何より地行が大事、空風火水の四ツを受ける地盤の固めをあれにさせれば、火の玉鋭次が根性だけでも不動が台座の岩より堅く基礎しかと据えさすると諸肌ぬいでしてくるるは必定、あれにもやがて紹介しょう、もうこうなった暁には源太が望みはただ一ツ、天晴れ十兵衛汝がよくしでかしさえすりゃそれでよいのじゃ、ただただ塔さえよくできればそれに越した嬉しいことはない、かりそめにも百年千年末世に残って云わば我たちの弟子筋の奴らが眼にも入るものに、へまがあっては悲しかろうではないか、情ないではなかろうか、源太十兵衛時代にはこんなくだらぬ建物に泣いたり笑ったりしたそうなと云われる日には、なあ十兵衛、二人が舎利も魂魄も粉灰にされて消し飛ばさるるわ、拙な細工で世に出ぬは恥もかえって少ないが、遺した