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ごじゅうのとう

五重塔

幸田 露伴

「国会新聞」1891(明治24)年11月~1892(明治25)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,316 字 · 111 页

青空文庫

地鎮の式もすみ、地曳き土取り故障なく、さて竜伏はその月の生気の方より右旋りに次第据え行き五星を祭り、釿初めの大礼には鍛冶の道をば創められし天の目一箇の命、番匠の道闢かれし手置帆負の命彦狭知の命より思兼の命天児屋根の命太玉の命、木の神という句々廼馳の神まで七神祭りて、その次の清鉋の礼も首尾よく済み、東方提頭頼持国天王、西方尾叉広目天王、南方毘留勒叉増長天、北方毘沙門多聞天王、四天にかたどる四方の柱千年万年動ぐなと祈り定むる柱立式、天星色星多願の玉女三神、貪狼巨門等北斗の七星を祭りて願う永久安護、順に柱の仮轄を三ッずつ打って脇司に打ち緊めさする十兵衛は、幾干の苦心もここまで運べば垢穢顔にも光の出るほど喜悦に気の勇み立ち、動きなき下津盤根の太柱と式にて唱うる古歌さえも、何とはなしにつくづく嬉しく、身を立つる世のためしぞとその下の句を吟ずるにも莞爾しつつ二たびし、壇に向うて礼拝恭み、拍手の音清く響かし一切成就の祓を終るここの光景には引きかえて、源太が家の物淋しさ。

主人は男の心強く思いを外には現わさねど、お吉は何ほどさばけたりとてさすが女の胸小さく、出入る