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いだいなるゆめ
偉大なる夢
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页
すべて僕の責任です。しかしこれについては、いつかきっとお詫びする折があると思います。十分お詫びする時がくるだろうと信じています」
少佐は何事か期するところあるものの如く、力強くいうのであった。
「イヤ、僕こそ不甲斐ない始末です。こんなところに虜になってしまって、父の臨終さえ知らなかったのですからね。僕にしては、責任は僕にこそあると考えています。父の霊を慰めなければなりません。父はどんなに無念だったでしょう。それを思うと僕は涙が溢れ出るのです。声を上げて泣きわめいてもまだ足りないように思うのです。僕はきっと復讐してみせます。この間諜団の一味徒党を一人残らず探し出して、根絶やしにし、父の無念をはらさなければなりません」
昂奮と飢餓とのために肉体の正調を失した新一青年は、憑かれたように悲憤の言葉を喋りつづけた。
そこは山中の洞窟の中である。それにけだものに近い人種が穴居生活をしていたのだ。その地の底で新一はとめどもなく歎きと呪いの言葉を吐き散らすのであった。
望月少佐は新一の顔をじっと見つめていた。何か意味ありげに、その白い美しい頬を凝視していた。
薄暗い穴の底のこの異常な光景は、鋭いメスで抉られるような鮮かなふかい印象を与えた。