轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页

青空文庫

これまで大陸方面で数々の素晴しい手柄を立てています。その大憲兵が愈々出向いてくれることとなったのです」

「マア、そうでしたの。じゃ、あすはその方にお目にかかれるわけね」

「エエ、明日です。それまでもう十時間余りです。八時頃には着く筈ですからね。ただこの十時間が無事にすみさえすれば……」新一はそこまで云いさして、フッと言葉をとめた。何かしら異様な声を聴いたからである。

二人はハッとして顔を見合せて立ち竦んだ。人の声だ。何とも得体の知れぬ喚き声だ。振向くと白々と月光に照らされた洋館の二階があった。ガラス戸が押し上げられ、窓の中から異様な人の姿が上半身を乗り出していた。モジャモジャの白髪が銀色に輝いていた。白い鬚に覆われた顔があった。その顔が口ばかりになって、何かわめいていた。

「助けてくれー、誰か来てくれー」

それは五十嵐老博士であった。その部屋は博士の寝室であった。叫びながら博士はジリジリとあとへ引き戻されていた。何者かが背後の闇の中から博士の身体を抱き戻しているのだ。

「大変です。早く……」京子の叫び声。

「あなたは憲兵を探して、あとから来て下さい」

新一は怒鳴りながら、建物に向って駈け出していた。