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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
とあやまった。
「分ったら宜しい」
「先生」
「何だね?」
「僕達は卒業証書が戴きたいんですが……」
「あれは総理が持って居られる。私は関係ない」
「総理のところへ伺えば戴けましょうか?」
「さあ。総理は今日君達が出ないと言って、あの大きな目に涙を溜めていたよ」
「真に済みませんでした」
「上って話すかね?」
と先生は請じてくれたけれど、私達は具合が悪くて、そのまゝ辞し去った。
翌朝、私達三人は総理ジョンソン博士の登校を寄宿舎の窓から見極めて置いて、総理室の戸を叩いた。
「お入り」
と返辞があった。
「お早うございます」
と三人、直立不動の姿勢をした。
「我儘息子達、来たか?」
「…………」
「何うして来たか?」
と博士は憤っているようだった。
「申訳ありません。お詫に上りました」
と私が代表した。
「宜しい。心配いらん」
「…………」
「朝、仕事忙しい。アメリカへ卒業式のことこれから書きます」
「先生、僕達は卒業証書を戴けませんでしょうか?」
「あれは差上げられません」
「先生」
「あれは卒業式に来ない人、欲しくないからでしょう?」
「いゝえ、欲しくて上りました」
「この机の引出にありますが、神さまの思召し、仕方ないです。